キノプラ太－矢野の仕事が無いＡＶ監督日記。

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コメントに頂きました「麻生美由紀さん」というモデルさんの事は僕は全く知りませんでした。
そこでネットで分かる範囲だけ調べてみましたが、そりゃないんじゃないの？っていう感じです。
亡くなられたのは事実という事のようなので、ご冥福をお祈りします。

問題になっていた本人のブログが残っていないので、はっきりとわかりませんが、ＡＶに出てる女の子は大なり小なり心に傷を持っていたり、ひどい情緒不安を持っていたりします。少なくとも僕が撮ったことがあるモデルさんはほとんど目に付くような不安定さがありました。
どうしてもお金が必要で隠れて自分を保ちながらＡＶをする女の子もいましたが、（価値があるとされる）自分の体を開くことによってしか世界とつながることができない人もいたと思います。また、ＡＶ業界というのは映画製作くずれ（なりたかったけどＡＶしかできないから仕方ない）や役者くずれが集まる世界で、思いのほか女の子にやさしくする世界なので居心地がいいと思う女の子もいたようです。
またＡＶに出る事は自分を現在も未来も傷つけると分かっていながら、カメラの前でニコニコ微笑む女の子もいました。彼女にとってはＡＶに出演することはリストカットと同じ自傷行為だからです。

われわれＡＶ関係者は、そういう女の子たちにたかるようにして商売をしているのですから、まったく最悪だと思います
でも彼女たちは、それほど最悪だとは思えません。
ただ弱く、自分を保てない隙にスカウトなり、マネージャーなり、製作者がつけ込んでいるのだと思います。
ただ、ＡＶの撮影というのは、思いのほか精神を壊します。よほど強い自制心を持つか、馬鹿のフリをするか、ほんとうに馬鹿になって痛みを感じなくなるかでなければ務まらないと思います。製作者の僕ですらそうなのですから、カメラの前で心身をさらす女の子はもっと酷な話でしょう。
お金を貰うたびに自分の価値は下がってしまうと思うのではないでしょうか。撮影内容も本数を重ねるたびに「あの子がココまでやった！」みたいなハード路線を要求されます。
（実際、先の話の麻生さんの三本のサンプル画像をみたけれど、三本まででかなりのハードプレイを詰め込んでる。普通は単体デビューでいきなりあそこまでさせない。この後あるとしたらＳＭとかスカとかしかない。これはもう大事に売ろうと思ってないとしか思えないし、彼女も自分に対する扱いでそれは感じてたと想像する。昔の宇宙企画のように撮ってあげればきっと売れた女の子だと思うのだけど。ＡＶであれ「女優」として大切に扱ってもらえなければ、ＡＶの仕事は単なる地獄だと思う。）

そして彼女は自殺をしたらしい。

自殺をあおるような書き込みをした人は、自分の書いた言葉程度のもので死ぬ人間が居る事を知って欲しいし、何よりマネージャーも所属事務所も知っていただろうに守ってやらなかったことが一番の問題ではないでしょうか？

製作者としては自殺じたい驚かないです。
撮影中に「この子はいつか死ぬ。でも今死なないでね」って思っているスタッフも多いと思う。
それ程、不安定で、撮影中に倒れたり、幼児かえりをしてしまったり、理解不能な行動にはしる女の子が多いのだ。
そして、そういう女の子は、かなりの確率で近親からの暴力、性的虐待を受けていることがわかる。
近親から性の対象としてしか見られなかった女の子が、再びＡＶで自分を性的にいたぶることを選ぶ。再演という心理行動だそうです。

だから僕は女の子一人一人を「人間」として丁寧に撮りたいと思っている。セックスもするが、夢があり楽しみや悲しみやワガママもある「人間」として撮ろうと思っている。

他の製作者のことは知らない。

けれど、ＡＶに出る女の子が最低だと思われるのは、それは出たＡＶが最低だからだと言い切ってしまおう。人間性のかけらもない「入れて出して」「いじめて、泣かせて」「感情のない体の動きしか映っていない」ＡＶしか見る機会がないからＡＶに出ようなんて女は最低だ！ってことになるのではないか？

だってセックスなんて誰だってしてるのに（僕は最近まったくしてないが）、それを見せることがそれほど最低か？映画でベッドシーンを演じたら最低女優と言われるか？
こういう世界だと知りながらサインした自分が悪いんだろう？という考えもわかりますが、彼女たちは与えられた仕事をきちんとしているし、僕の立場としては、作り手のモラルと才能に非がある、と考えます。

今ＡＶ業界は何とかの一つ覚えみたいに「元芸能人が！」みたいな企画が垂れ流しになっています。
ＡＶに誘われたり、ＡＶに出るように威されたり、しているモデルさんも多いのかもしれません。
でもＡＶの内容が「綺麗な手の届かないような女の子を、メチャクチャに汚す（基本的にＡＶってそのラインだと思う。昔の宇宙企画が違っていたのはそこだと思う）」というものでしかないならば、ＡＶは永遠に女性の魅力を描けない「クソ」でしかないと思う。


で、そういう話だと「では、何故僕らはＡＶを見るんだろう？オナニーに必要というけれど本当かなぁ？ＡＶや風俗がなくなったら性犯罪が増えるというけれど、それって男の言い訳じゃないのかなぁ？対等に女の子と向き合う努力をしないでお金で解決しようとした時に無くしたものがあるんじゃないのかなぁ？」って考えも浮かぶのです。
女の子と上手く話せれば、好きなだけタダでセックスできるのに、「お金」っていう得たいの知れないもので交換できるよ！って言った誰かに男も女の子も騙されているんじゃないのかなぁ・・・、なんて考えてしまうのです。

1. 2008/04/29(火) 18:06:28|
2. AVを作ること
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