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美術手帳とかを読んでいて、ふと「ああ表現しようと思って撮ってないなぁ」と思い立った。
段取り的に撮影順を決めて進めて、それを可不可なく漫然と「記録」して編集でそれらしく仕上げているだけで、このショットの要求するものや、このショットで自分が表現したいものなんて考えていない。ドラマものの場合はかろうじてこの人物はこういう気持ちだからこう撮ろう、というぐらいは考える。でもドキュメント(バラエティ)の場合は成り行き任せで撮っているだけです。広角レンズで振り回すだけ。
ドラマでも役者の芝居と台詞でこういう気持ちですよー、ぐらいはできるけど、もっと的確に伝えられる画角や構図、照明があるはずなのに、そこまで現場で作れていない。芝居を撮るので精一杯。
特に絡みに於いては表現したいことなんかまるっきり考えず、必要なアングルや体位を漏れなく撮っているだけに近い。
ビデオカメラは便利なもので、録画ボタンが押せれば三歳児でもそれなりに撮れる。出来事を記録するだけならだれでもできるのに、その感覚でカメラを振り回していいのだろうか?
今のAVは表現することは好まれない。
セックスをエロく表現するのはいいけど何か人生とか社会とか考えめいた事をするのは喜ばれない。僕はいつも「余計な事を考えるな」と言われてしまう。まああまりにも声高にテーマをがなりたてるからですが・・・。
そこで女体を綺麗にエロく撮るにはどうするか、を必死に考えるのです。イメージは撮れた。でも絡みに工夫が無い。
挿入の時のアングルはあれでいいのか「チンコ越しに顔からPANして挿入」なのかカメラ目線なのか、潮吹きも誇張して逆光で光らせたほうがいいのか、犯される女子高生の恐怖を表現するのにチンコはCGで巨大化したほうかいいのか?射精は擬似でもいいから大量がいいのか?リアルなセックスを撮ってもいいのか?
女の子の肌を撮るのはこの照明の明るさでいいのか?安全に光を回して撮ってるけどそれでいいのか?そもそもこのAVに伝えたいことなどあるのか?
わけがわからない。
結果「表現されるもの」は現場の記録でしかない。
映像は本来、厳密に意味を持つ。こう撮ればこういう意味である、という法則がある。ぼくはちゃんとそれを勉強しなきゃいけないんだな。
徳間書店から出ている「ディズニーアニメ 生命を吹き込む魔法」を読んでいる。絵の書き方、見せ方、動かし方によって言葉でなく伝わるものがある。その法則を発明していく歴史的解説です。ただ漫然とカメラを回していても映る実写と一から考えなければならないアニメの違いがあります。
こういう場面を作って笑わせたいなら、絵柄はこうでなければならない、こう動かなければならない、レイアウトはこうでなければならない、という考え方は、今のぼくにも勉強になります。
ともかくもAVは簡単に撮られすぎてると思います。そのせいでつまらなくなっている部分もあるような気がします。
- 2007/10/07(日) 23:05:27|
- 仕事の覚え書き。
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